ゲルマ・ラジオ 制作

目的:中波放送(AMラジオ)を聞く。
ゲルマニウムラジオ:電波のエネルギを直接利用するため、電源は不要。

この記事では、アナログ回路初心者の私が、ゲルマ・ラジオを作成する過程を紹介していきます。

本の購入

原理の説明~設計・製造までを説明してくれている参考書を探したところ、 「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・制作 実践派エレクトロニクス・ビギナーのために 鈴木憲次 CQ出版」 に出会いました。この本では、市販されている専用IC部品を使わず、トランジスタやダイオードなどの最下層の電子部品を用いて、回路を作ることを目的としています。私のような初心者がブラックボックスの専用ICを使ってしまうと、動作原理の理解がおろそかになると考えたので、この本を参考にすることにしました。

作成する回路

回路図は以下の通りです。
・ループアンテナ
・ポリバリコンとループアンテナによる同調回路
・ダイオードとコンデンサによる直線検波回路
・セラミックイヤホン
で構成されています。

ユニバーサル基板ICB-90を2つに切り、それぞれ同調回路、検波回路に使用します。アンテナは24回巻きのループアンテナを作成し、6回ごとにタップを出して端子につなぎます。

ループアンテナの作成

ループアンテナは、植木鉢の受け皿(直径24cm)の周りにポリウレタン線をぐるぐる巻いて作成しました。巻き数は24回で、6回ごとにタップを出します。
まずは、滑り止めとなるテープを適当に張りました。

次に、巻き始めの位置に裁縫針で穴をあけて、ポリウレタン線を通しました。

6回巻いたら、また穴をあけて、線をねじってから穴に通します。

これを続けて、24回巻き終えました。(疲れた。。。)
受け皿の内側には、穴から通した5本のタップが出ています。

基板へ実装:同調回路

アンテナが完成したので、基板へ部品の取り付けを行っていきます。
まずは、穴あけです。以下のようにあけました。
・Φ2 x 5:アンテナから出した5本のタップを巻き付ける端子用
・Φ3 x 2, Φ8 x 1:ポリバリコン取り付け用
この際、Φ2, 3の穴にはドリルを、Φ8の穴にはリーマーを使用しました。どちらも家に持ち合わせがなかったので、購入しました。

ここに、端子とポリバリコンを取り付けました。

ここから、いよいよはんだ付けです。中学生以来の作業なので、緊張します。
まず、基板の裏面にて、ポリバリコンの端子を回路につなぎます。導線は、錫メッキ線を使用しました。

次に、表面のはんだ付けです。端子にアンテナのタップを巻き付けて、はんだ付けしました。(画像下部はポリバリコンのダイヤルです。)

基板へ実装:検波回路

後は、ダイオードとコンデンサを用いた検波回路です。
下図のように配線しました。

イヤホンは、ジャックの部分を切り取って、2本の導線をコンデンサの両端にはんだ付けしました。

合体

最後に、同調回路と検波回路をつなぎます。
写真の赤と黄色のコードで接続しました。アンテナとの結合に黄色のミノムシクリップを使って、何周目のタップにつなぐかを変えられるようになっています。植木鉢の受け皿に穴があいているのは、もともとここに同調回路の基板を固定するつもりだったからです。結局、ねじの長さが足りなかったので、後日購入して対応することにしました。

このままだとタップの部分をクリップでつまみにくいので、すこし改良しました。

いざ、受信!

アンテナの向きを変えたり、ポリバリコンのダイヤルを回したりしながら、受信できるところを探しました。なかなか音が聞こえなかったので、失敗したのかと思ってハラハラしましたが、しばらく探していると、1局だけ受信できるチャンネルが見つかりました。宇宙の生命体がどうやらこうたら言っています。音はものすごく小さいです。外に出てみると、より大きな音で聞こえ、場所による電波の強弱を実感することができました。

完成形

感想

参考書に書いてある通りに作るだけでしたが、それでも初心者なりに苦しんだ場面はいくつかありました。
【部品集め】
一番ハードルを感じていたのは、部品集めです。参考書に部品表がありましたが、回路作成に必要な工具などまでは細かく書かれていないので、必要なものを集められるか心配でした。実際、
・はんだ付けには「はんだ」が必要なこと(当たり前)
・基板に穴をあけるのに、ドリルやリーマが必要なこと
・基板の配線に錫メッキ線が必要なこと
を作り始めてから知り、二度目の買い物へ出かけなくてはならなくなりました。
【回路作成】
回路作成では、はんだ付けが難しかったです。今回の回路は簡単なので、下手でもなんとか仕上がりましたが、はんだがつけたいところにつかず、関係のないところにダマができてしまったり、見た目が汚くなってしまいました。Youtubeなどではんだ付けの講義を見れるので、これから勉強していきます。
【嬉しかったこと】
回路が完成して、実際に受信できた時は、感動がこみ上げてきました。特にゲルマ・ラジオは電源が不要で、電波のエネルギーだけで動作するので、電波が飛んできていることをそのまま感じることができました。作業デスクの上に置いているので、作業につかれた時に時々手に取って、イヤホンを耳に当て、流れてくる小さい音を耳を澄まして聞くのが癒しになっています。

部品について

購入した部品について、以下に示します。参考までに。
部品表
品名型名・仕様数量単価(円)購入店
回路部品
ユニバーサル基板ICB-90(サンハヤト)1190電子パーツ店(日本橋)
ゲルマニウムダイオード1N601100電子パーツ店(日本橋)
セラミックコンデンサ1000pF, 50V110電子パーツ店(日本橋)
ポリバリコン260uF1340電子パーツ店(日本橋)
ポリバリコンダイヤル190電子パーツ店(日本橋)
セラミックイヤホン1300電子パーツ店(日本橋)
ポリウレタン線(ループアンテナ用)0.4mm 100m11320電子パーツ店(日本橋)
植木鉢の受け皿(ループアンテナ用)直径24cm1日曜大工用品店
配線
塩化ビニル被覆平行電線(配線)1280電子パーツ店(日本橋)
コード付ミノムシクリップ6本入1530電子パーツ店(日本橋)
錫メッキ軟銅線0.8mm 10m1366電子パーツ店(日本橋)
工具
はんだごて1日曜大工用品店
こて台1日曜大工用品店
電子工作用はんだ1.0mm, 100g1電子パーツ店(日本橋)
ハンドドリル2.0mm1430工具店
3.0mm1350工具店
テーパーリーマーTR-011800工具店
ミニニッパー1380電子パーツ店(日本橋)
ねじ、ナットΦ3 6個入1日曜大工用品店
Φ2 8個入1日曜大工用品店
ドライバー、六角、裁縫針など

  • 全体像

参考書:「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・制作 実践派エレクトロニクス・ビギナーのために」 鈴木憲次 CQ出版

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